【脂肪除去だけじゃない】肥満症外科治療って知っていますか?

コロナ禍でかなりの人に体重増加が生じているという記事を見ました。

また、ご存知の方も多いと思いますが肥満があると、コロナウイルスに感染しやすく重症化もしやすいという報告もあります。

肥満があるから絶対病気になるわけではもちろんなく、太っていても元気に日々過ごしている人は山ほどいます。

ただ、色々な疾患のリスクになるのは間違いない事です。

「肥満」そのものと、それに対する手術療法に関して今回は触れたいと思います。

肥満の方はどれくらい居る?

2016年時点で、世界の約9%は肥満であるという報告がWHOから出ています。

ちなみにこの場合の肥満の定義は、お馴染みのBMIで定義されて居るのですが、日本でよく言う25ではなく30以上を肥満としています。

WHOはBMI 25以上を過体重、BMI 30以上を肥満と定義して居ます。

170cmの人が居たら、87kgがBMI 30です。

ちなみに日本は?と言いますと先ほど書いた通り、BMIは25以上を肥満の基準として居ますが、20歳以上の男性で30%、女性で20%が肥満です。

令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要 – 厚生労働省より引用

色々なダイエット方法がテレビや書籍で日々出て来るのも納得、という割合かなと思いますね。

これだけ対象者が多ければ、巨大な市場だと感じます。

肥満と肥満症の違い

肥満という言葉は、とても耳馴染みのある言葉だと思います。

一方、肥満症って聞いた事ありますか?

こちらはあまりテレビやダイエットの特集でも聞かないような気がします。

では、「肥満」と「肥満症」の違いはというと、簡単に言うと疾患か否かです。

先ほど記載した通り、肥満でも元気に暮らして居る人は沢山いて、肥満自体は疾患ではありません。

ただ、肥満症は疾患であり、もちろん肥満に起因して生じて居る。

そして医学的な治療が必要だと言うことが大きな違いです。

肥満も肥満症もBMIが25以上というスタートは同じですが、肥満症の場合には11の健康障害、または内臓脂肪の蓄積があるという点が診断基準となっています。

逆に言うと、どれだけBMIが高い人でも、健康障害が無く、内臓脂肪の蓄積が無ければそれは肥満症ではなく肥満という事です。

肥満に対する手術「脂肪吸引」の効果って?

肥満に対する対処として、いくつかの手術があります。

皆さんすぐに思いつくのは美容形成外科で行う脂肪吸引でしょうか?

脂肪を「吸って、引く」いかにもダイエットな感じのワードですが、実はこの手術あんまり痩せないという事をご存知ですか?

誹謗中傷のような言い方ですが、事実として形成外科のホームページ等にも記載があります。

体重が大きく減ることはない

脂肪吸引というと「体重を減らせる」と考える人も多いかもしれませんが、実は脂肪吸引ではそこまで大きく体重は減りません。そもそも、1回の脂肪吸引で取り除ける脂肪や血液の量は限られています。一度に多くの脂肪や血液を取ってしまうと、体への負担が大きいためです。実際に取り除く脂肪には血液や麻酔液が多く含まれており、こういった不純物を分離すると、それほど脂肪の量は多くありません。もちろん、脂肪が減ることで見た目は細くなりますが、術後はむくみで一時的に体重が増えることもあるため、注意が必要です。すぐに体重を落としたいという場合は、脂肪吸引は向いていません。

共立美容外科 脂肪吸引で楽に痩せられるって本当?より引用

ただ、一般的にも認知されている手術なので、当たり前ですがメリットも大きいわけです。

2019年には、8000件を超える脂肪吸引が行われたという報告があります。

ではそのメリットはと言うと、体型の改善や部分痩せに有効だという点です。

体重という人には見られない物では効果が薄いとしても、外見を変えられるというのは確かに大きなメリットですよね。

肥満症に対する手術「肥満外科手術」とは?

では、痩せるための手術は他にあるのか?

全額自費の脂肪吸引とは異なって保険診療が可能な手術があります。

それが「腹腔鏡下スリーブ状胃切除術」肥満症外科手術です。

名前に記載がある通り、脂肪に対して行うわけではなく、胃に対して介入をする手術です。

胃を切除してサイズを小さくする事で、摂取エネルギーを減らして減量を図るという訳です。

同時に、食欲を増すホルモンが分泌される場所を切除する事によって、食欲減退効果もあるそうです。

他にも肥満症に対する外科手術はありますが、現時点で保険診療として実施可能手術はこれだけです。

保険診療に当たっては条件がいくつかあります。

保険診療による腹腔鏡下スリーブ状胃切除術の適応
・6か月以上の内科的治療によっても、十分な効果が得られないBMIが35 kg/㎡以上の患者であって、糖尿病、高血圧症、脂質異常症、または睡眠時無呼吸症候群のうち1つ以上を合併していること。
・6か月以上の内科的治療によっても十分な効果が得られないBMIが32.5~34.9の肥満症およびヘモグロビン(Hb)A1cが8.4%以上の糖尿病患者であって、高血圧症、脂質代謝異常、または閉塞性睡眠時無呼吸症候群(AHI≧30の重症例)のうち1つ以上を合併していること。

自治医科大学 外科学講座 消化器一般移植外科部門 肥満外科手術項より引用

減量を目的として実施する場合、他の疾患を持っていなくてもBMIが35以上であれば手術の適応とはなり実施可能なようですが、上記の条件を満たしていない場合はこちらも自己負担という事になります。

実施に当たって効果は非常に大きく、30%近い体重減少効果が得られるとも。

もちろん、ノーリスクで出来る手術は無い訳で、手術後も食事や運動療法が必要であったり、体調不良が起こる可能性があったり、手術後即見る見る間に体重減少🎵の様な甘い話ではないようです。

そして実施している施設が全国で見ても少ないので、まずはお近くの医師に相談を、という所でしょうか。

まとめ

今日は減量するための手術に関して、ご紹介しました。

特に、後半に触れた肥満症に対する外科手術に関しては、以前仕事で関わって居た事もあり、医療従事者の方から、生の話を聞く事が非常に多かったのでまとめてみました。

肥満と言うと、だらしない、生活リズムが乱れてる、など前に記事にしたスティグマの如く負のイメージを抱かれている人が多いと思います。

とはいえ、太りたくて太っているんだ自分は!なんていう人は居ないと思うんです。

そんな人たちに、自費だったり、かなり高度な肥満だったりと制限は色々ありますが、治療や改善の選択しがありますよという事で記載してみました。

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